これを読まれる方が、1人でも多く増えますように・・・。
「初夏、夏色」
それは燃える。それは安らぐ。
沢山の虫の音、時々なる風鈴の音。
緑が生い茂る真夏の季節。
幾つもの思いと、たくさんの人と出会った三年間。
これが最後の夏休み。
花火、海、日に焼けた小麦色の肌。
嗚呼、日焼けはまた残るのだろう。
切ない思いと、一縷の記憶が歳の中に残るだろう。
夏はまだ終わらない。
これからも、この先も、永遠に。
果てしなく続くのだろう。
もっと感じるのだ、僕たちは。
日毎に、思いは熱くなる。
そしてこれからも、もっと燃え上がる。
だから、悲しいなんて思いたくない。
「優しすぎて」
悲しくなる。
怒りを覚える。
酷く突放しても、嘘をついても、
常に許してくれた人達。
許すのも、謝るのも、もう止めて。
『悲しい』と言う棘が
心に刺さっているのだ。
それが、毒と気づくのはいつもずっと先で。
優しいから、勘違いされるのだ。
其の涙の後は笑顔と嬉しさ。
刺さったままの棘も、もう痛くないよ。
君が、まだ居てくれると言うのなら。
癒そうとも、
痛めつけようとも、
必要なんだと思うよ。
君のそのあったかさは。
痛くて苦しくて、でも嬉しくて柔らかいモノが。
「飛行機雲」
未熟者と思う、今日この頃。
偶に空を見上げてごらんよ。
青の無地の中に、
一際目立つ、直線の白。
遥か遠くは酷く歪んでる癖して、最前は憎い位の真直線。
ゆっくり進んでは、後ろには辿った名残がある。
いくら歪んでようが、いくら自己嫌悪に落ちようが、
少しづつ、少しづつ小さな事の積み重ねで、素敵と思えるものに、
そんなものに、なれたらいいね。
素敵な人に出会う為に、素敵な人になりたい。
出会いたいと思いたい。
そういうことを、そう思った日があったんだ。
「きっと、それだけで」
きっと、良かったのだ。
きっと、後悔しなかったのだ。
もう引き返せないのに、もうやり直しの聞かない事なのに、
未練がましく「そうすればよかった。」などと思う。
失敗をして、散々泣いて、悔しく思っても、
もうあの頃には戻れないのに。
「踏み切りにて」
あの踏み切りでいつもすれ違うあなたへ。
忘れ物はしていませんか?
遅れずに行っていますか?
忘れている物があるなら、戻ってください。
時間に余裕がないのなら、走ってください。
早く走っていかないと、遮断機が落ちちゃいますよ。
立ち止まっても、きっと何とかなるよ。
大丈夫、あなたならきっと何でも出来るから。
あの場所で、すれ違うあなたへ。
「腐り落ちた色彩」
あの色を忘れている。
幼い頃から目に留まったモノ。
心はもう、ココにはない。
悲しくもなくて、嬉しくもなくて、
ただ、無くなっただけに心に残った。
心に隙間が、ひたすら叫ぶ。
記憶が、いつしか色が落ちていた。
忘れた人、忘れた物、忘れた思い出、
嬉しさ、悲しさ、怒りの色彩は、
腐り落ちて、もう残っていない。
あの時の君の言葉も、あの時の君の温もりも。
「お願いゆるして」
許されるのなら、許されたい。
ただ、憎まれたくないだけだから。
今まで、たくさん悪いと思ったことをしてきたと思う。
酷い事を言ったり、貶したりもしてきた。
たくさんのモノを手にいれ、代償としてたくさんのモノを喪った。
幼い頃は、泣くほど悲しかったのに、
いつしか霞んで、思い出になったのだ。
消え行く、記憶。
増え行く、変革。
許されたいのか、憎まれたいのか。
誰に謝りたいのか、どうすればいいのか、解からない。 嘘です。
本当は誰より、許されたいです。
知りたいんです、償いとその言葉を。
「封鎖区域」
入る事を禁ずるトコロ。
誰だろうと、踏む込む人は許さない。
僕を、これ以上否定しないで。
勝手に入って、僕を壊さないで
その筈なのに、何で入りたいと思うんだろう。
なんで、お前たちは世界を壊したがるのだろう。
そこは誰も今は知られていない。
そこは、孤独と悲しみで埋もれた大地。
嗚呼、シャングリラ。
僕の世界は、壊れた先にあったのか。
ココロは砕けて、砂になって、いつしか大地に変わった。
世界は、まだ生まれたばかりだったのか。
「君のいた場所」
どこへいったの?
いつ帰ってくるの?
こんなに待っているのに、
なんで帰ってきてくれないの?
場所と、言葉と、温かさが、
体中に焼きついて、離れないのに。
早く来て、早く目を覚まして、
一つ瞼を閉じる度、君の顔がいつか霞むから。
夢の中でも、もう待てない。
いつまでも、この『君のいた場所』で待ってるから。
どうか僕が泣く前に。
「いつか」
ここから出たい。
何度そう思ったことだろう。
いつまで閉じ込められたままなのだ?
昨日、今日、明日。
ずっとここにいるだろう。
願いは叶わぬまま、今日も歪んだ青空を眺めている。
飛び立てたら、終わらない世界が続いている。
海と、花と、風が、
汚いけどそれ故、綺麗な世界が。
羽ばたけない僕はだからこの牢獄にいるのだろう。
羽ばたいていけば。
それだけなのに。
それでもまだ、飛べないのだろう。
だからここから抜け出すのだ。
地に何度落ちようが、未知の世界を飛び回る為に。
いつか飛ぼう。
この青い世界を。
このサイトから刹那 10題を借りました