「走れ!」

さあ走り続けろ。
空に向かって。 地を蹴って。

いつもと同じ景色。
今日も少しずつ、前の情景は消えて行く。

昨日は今日へ。今日は未来へ。未来は夢へ。
広いようで、狭いこの世界は眠らない。
常に走り続けている大地。
少しずつ少しずつ、変革を起こしながら。

果てしなく遠くとも、大気を吸い込め。
追いつけなくとも、走り続けろ。
未来は止まらない、常に走り続けながら。

さあ走り続けろ。
さあ目指せ。高い空にむかって駆けあがれ。





「もうすこしだけ」

もう少しだ。 でも越せない。
もう少しだ。 足が竦む。

なぜ止まる?
それは怖くて怯えているから。
何を恐れている?
何かよく分からないモノに。

解放感と共に湧く、背後の恐怖。
たったそれだけのこと。
縛られ続けているのだ。
振り返ることも許されないのだから。

それでは駄目だ。
分かっている筈だ。
知っている筈なのに。

怯えながら生きるのも
目を背ける事も
逃げたりする事も。

全てが、僕自身なのだと。

そう思えば、要となってくれる。
その気持ちを、息が切れるまで感じていたい。

思う。
『もう少しだけ、頑張ってみようか。』





「メトロポリス」

擬似未来。
変革世界。
新しき楽園。

交錯する蜃気楼。
高まる鼓動、膨らむ希望。
そしてそれに裏切られた、夢の砂塵。

進化は続き、忘却してゆく文明。
代償に過去を忘れ、
戦乱は留まらず、奪い合いが絶えない常世。
進む代わりに、捨ててきた繋がり。

過去はそんなに価値のないものなのか?
未来はそれ以上に価値のあるものなのか?

過去をけなす愚か者。
戦乱によって苦しむ者。

残酷こそ甘美な地獄。
それこそが我らが世界。





「水中花」

花。 華。 塙。
水牢に囲われた棘の籠。

美しく、また儚く。
その形は蓮の様に。
その有様は人の様に。

閉じ込められる人間。
囚われた人間。
縛られ続けている人間。

喜びを舞い、嬉しさを賛美し、
檻は『呪縛』を約束する。
それを『幸福』と、欺かれながら。

罪と罰は、お前自身にあるのだと
やがて思い知らされて。





「最果ての君へ」

まだ会う事のない君へ。

君とはいつ出会えるのだろう?
今日か、明日か、明後日か?

君は素敵な人なの?
君は幸せな人なの?
そうだとすれば、僕は幸福だ。

素敵な君に出会えるから。
幸せな人を見つける事が出来るから。
『愛する人』。
君が、きっとそうなのだろう。

遠くの最果ての君へ。

出会うまで、ずっと幸せにね。
君を傷つけてしまうのが、とても怖くもあるけど。
『1人の人を幸福に出来る。』
そう言える日まで。
その日まで、いつか。





「何も、映さないのなら」

映るのが不思議。そう思った。
鏡に映る姿。
その姿はガッカリもするし、
嬉しさも湧く。

真の姿を映す。
それは恐ろしい事で、そして緊張が湧く。

もし何も、映さないのなら
死んでいるのだろうか?
ここには存在すべき者ではない。
ここには、いないと言う事。

存在すべき者ならば、
何でここにいるのだろう?
なんでココでなければならなかったのだろう?

映る度、形は変わっていって、
僕が変わっていく姿を見ると、

『ここにいて本当に良かった。』

と、思ってどうでもよくなる。
共に変わる、僕の心に気付かないふりをして。





「逆さまのソラ」

この天の空と、地上の大地。
二つは一つ。

裏側の世界。
上は蒼くて綺麗なのに、
下はどんどん荒れていって、
穢していって、枯渇した醜い世界となった。

醜くない。汚いだけじゃない。
心のどこかで否定している。

そう。全ては汚くない。
茂る緑、蒼い海、咲き誇る花。
汚いだけの世界じゃない。

大地は空よりも美しいモノだと。
いつしか思うようになった。

大地と人との連なりの、その思い、空まで届け。
違った美を持ち、
醜さも等しく持つものなのだと。
きっと、そう信じたい。





「翼などいらない」

翼がほしかった。
与えてくれなかった理由がほしかった。

でも一つだけ考えてしまう。
なんで人間には翼はないのか?

飛ぶ必要がないから?
この世界ではただの飾りに過ぎないから?

空を飛ぶことが出来る。
鳥と一緒に飛べる。
きっと自由に思えることだろう。

傍にいる君は、きっと翼は似合うだろう。
とても愛しくて、君は離れそうで怖い。

だとしたら思う。
『翼などいらない』

翼がなくても、君なら自由に生きれるだろう。
翼がなくても、君と一緒に生きれるだろう。
君が共に歩くのなら、きっと僕等はどこまでも行ける。

翼など、元々必要ないのだから。






「最期だとしたら」

もしこれが最後だとしたら、
もう一度、君に会いたい。
今すぐ会って、最後まで君と共にいる。

愛する人と最後まで一緒にいる。
正論の幸福だ。

それは一番幸せなことなのか?
一番重要な事なのか?
一番、必要な事なのか?

少しでも生き抜く方法は探さないのか?
生きるのを諦めてしまうのか?
それが一番の幸福と思ってしまうのか?

最後まで幸せになりたいのなら、
なぜ生きる事を忘れてしまうのだろう?





「お願い」

お願いです。
ずっと一緒に居てくれませんか?

君と一緒なら、何でも乗り越えられるような気がするから。
君と離れる事がないなら、全てを捨てられる様な気がするから。

どんな言葉を使っても、表しきれないこの気持ち。
どんなに表現しても、伝えきれないこの言葉。

最も難しくて、残酷で、束縛を表すこの言葉と気持ち。

『愛しています。』

だから、まだ君と一緒にいてもいいですか?



このサイトから刹那 10題を借りました