「泣きたくなる」
思えば泣きたくなったあの日。
懐かしく思える。
今は、泣かない。
それは強くなったから。
もう泣かない。
涙なんていらない。
人を傷つけて、苦しめて、支えあって。
喜びを涙に変えたあの時。
悲しみを涙に変えたその時。
なんで涙は必要だったの?
心の冷たさを溶かす時。
悲しみを忘れる時、心を貴方に伝える時。
そう、其れは正に
人の欠片。
ああ、そうか。
僕は泣きたくなかっただけだったのか。
「壁」
触れ合う時、温かさ、冷たさが僕に伝わる。
見えない所があって、
仕切りがあって、
他の者を受け入れない石の様な心。
見えない境界線が僕らを遮るのだ。
君と僕の最後の砦。
その壁はとても大きくて、硬くてそして冷たい。
何が君を苦しめてるの?
どれが君の本当の心なの?
どこに君の心があるの?
邪魔をしてよく見えない部分。
その壁を壊した時こそ、本当の君に出会えるのだろうか。
氷の心を、暖め包むことができるのなら。
だから負けないで、分からない何かに。
押しつぶされる前に、きっと君を助けに行くから。
「離さないで。」
置いて行かないで。
離れていかないで。
離さないで。
一人だった僕を救ってくれた。
世界で一人きりだった僕に、手を差しのべてくれた君。
大好きだった君。
本当に愛していたよ。
本当に本当に好きだったよ。
ずっといてくれると、信じていたよ。
あの君はもういない。
温もりも、声も、もう感じる事は出来ない。
ずっと一緒にいてくれた君。
ずっと愛しています。
いつかまた、逢いましょう。
「透明なままで」
透明な空。
何一つない蒼い空。
綺麗で、憧れていて。
とても眩しくて。
愛していた。
空が大好きだった。
隠すように雲を増やして。
涙のような雨を降らして。
そして泣いた後の笑顔のように、虹をかけて。
真実を表し、自由を表し、
忘れさせてくれる夢見せてくれる。
でも、
永遠に夢は見れない。
無残に壊されて、現実が僕を襲うから。
それでも、僕は愛している。
愛して止まない天空を。
空のような君を。
「汚れていく強さ」
傷つけてきました。
苦しめてきました。
だから今の僕がいます。
だから汚い僕が語るのです。
多くを捨ててきて、
多くを得てきて、
強さを手に入れた僕がいます。
僕は自分は綺麗だなんて思わない。
皆、汚れていて汚いじゃないか。
好き勝手生きている奴らが綺麗な筈ない。
生まれて死ぬまで、きっと汚いままだ。
だから僕は、憧れて止まないんだ。
綺麗になりたいです。
そう思えるものになりたいんです。
「遠雷」
遠くで見える雷。
光の柱、稲妻。
雨を呼び起こし地に潤いを与え、
光の柱は、その様は神の槌。
嵐を起こし、
地響きを起こし、
人が恐れる自然の天災。
穢し続けてきた末に、
踏み込んではならない領域を踏んで、
遂に臨界点を超えたのだ。
これが罰なら、
なぜ改めないのだろうか?
なぜ壊す事をやめないのだろう?
「不器用な手」
悲しみに浸っている中、君はいつも手を握ってくれた。
震えてて、緊張していて、
不器用だけど温かかった手。
その温かさが、僕の涙を止めてくれた。
溢れんばかりの愛しさを感じた時。
君が僕の涙を拭って、
下手な慰め方で、いつも僕は笑ったのだ。
不器用だった君の手が、とても好きなのだ。
どうして僕の傍にいるのだろう?
いつも気にしてくれるのだろう?
考えても分からなかったけど、とても嬉しかったあの時。
その不器用な手を、誰にも触れさせたくない位、
君の温かさが大好きです。
だからもっと、手を握ってて下さい。
「静謐」
とても長い静寂。
とても短かったあの時。
ココロは棺桶に収まって、
暗闇に私はいる。
心は冷たい水の中に。
体は石の硬さのように。
底まで落ちていって、底できっと思っている。
『この冷たさは、どこから来るのか?』
待っているのだ。僕は。
冷たい静寂の水の底で、
未来に会う君を。
「残酷だね」
残酷だね。
残酷だよね。
僕に笑顔をくれた君を
簡単に手放してしまうなんて。
あんなに温かかったモノを、
尊いモノを
僕は捨ててしまったのだ。
全部壊してしまったの。
温かさと平穏を。
優しさと絆を。
雨のように涙は出て、子供の様に嘆いて。
壊したものはもう戻っては来ないのに。
壊して、崩れて、消えていって。
いつも捨てていった後で、悔いる事になるのだ。
聞いて下さい。
僕は誰も傷つけたくなかっただけなのに。
孤独でいるのは、残酷なことなのだろうか?
「この世界が終わるまで」
いつまで続いているんだろう?
止まる事はない。止める事も出来ない。
朝と夜は毎度来て。
止まる事無く歳をとっていって。
理不尽で、無秩序な世界。
死ぬかも分からない。
終わるのか分からない。
そんな、無計画の人生だから、
僕に出来る事を、思い切りやり遂げよう。
僕が君にできる、あらゆること全てを。
ずっと傍にいてあげる。
ずっと君を守り続けるよ。
この世界が終わるまで僕は待っている。
君に会う未来を。
未来に変わる世界を。
このサイトから刹那 10題を借りました