「大好き」
恥かしくて言えずに、
言いそびれているあの言葉。
そんな自分が情けなくて、
そんな僕にいつも傍にいる君。
面白い言葉、
温かい言葉、
優しい言葉、
いつも僕を笑わせてくれる君。
当たり前で、在り来たりで、
いつも言えない、君だけに言える言葉。
言えないけどいつもそう思っているよ。
心の中でいつも君に呼びかけているよ。
『君の事が大好き』だと。
それが不器用な僕が君に出来る
唯一の事だと。 そう、思うから。
「後ろ向き、空回り」
いつも前を見ずに、
後ろばかりを気にしている君。
前にある好機をいつも逃してしまう。
後ろばかりを気にしながら、
いつも先を見ずに失敗している君。
前にある事となると戸惑う君。
後ろ向きの君。
何時まで経っても弱いままの君。
それも一つの魅力だと思うよ。
それも一つの君の輝きだと思うよ。
その輝きを失わさなければ、
きっと君に前に進む方法が分かるはずさ。
「通り雨」
今まで雨が降ってた。
直に止んで、明るい太陽が出てきたよ。
さっきまで泣いていたくせに、
気がつけば明るい顔を出す。
周りが暗くなっていたけど、
一つの明るさで世界が見えるんだ。
泣いているから笑顔が増えるのかな?
笑顔はみんなの灯火なのかな?
だから明るく生きて行けるのかな?
今度、そんな人に会えたらいいな。
「ひとり海辺で」
潮風が当たる中、
青々とした境目の砂浜にいる。
涼やかな潮と、番の空を見上げている。
涸れる事はない。
失う事もない。
沙も失う事もない様に祈っていよう。
水平線を見ると、丸い世界が見える。
地平線の先の、明るくなり行く大地に手を伸ばす。
海の果てには、この先には何があるのだろう?
ひとり海辺にいると色々考えて、
色々混乱して、頭が痛くなる。
今度ここへ来た時は、
一緒に考えてくれる人もいたらいいな。
「背中合わせ」
背中合わせに、も僕達は目を背けている。
いつもいつも見たくなくて、
いつもいつも感じて・・。
見なくてはならない物から逃げようとして、
見なければならない物から遠のいていって・・。
一つ一つ大切な物から、
周りの事から、
自分の事から。
逃げていても、
遠のいていっても、
離れていても、
いつかは見る事になる、
知る事となる。
そう覚悟を決めて。
だから背中合わせのままでいて。
『君の心を見せてほしい。』
その時まで。
「茜空」
いつもと同じ茜空。
黄昏。
紅。
毎日の色がそれぞれ違う赤色。
いつの間にか朝が来て、
いつの間にか昼になっていて、
いつの間にか夕暮れになっている。
移り気な大気。
一番好きな茜色は
丸で、恋焦がれた君の様。
夕焼け空。
茜色は、いつでも綺麗。
僕も君の色に、近づきたいから。
「音のない世界で」
溢れんばかりの響きの中で
僕はこの世に来た。
生まれた時の喜びの声
大切な人がいなくなった時の悲しい叫び
様々な声と言葉、そして分かち合った。
音だけが頼りで、
生きがいの中、僕は佇む。
それが消えた途端、
発狂を起こして、もがき苦しんでしまうかも知れない。
もう貴方たちの声が聞えなくなると思うと、
きっと、泣くでしょう。
だから叫び続けているのだ。
一つ一つ消えていく、壊れた世界が。
感じ取って、掬い上げるのが精一杯で。
音の無い世界で、孤独に生きる前に。
刻み付けるのだ。
世界に、僕の全てを。
「いきどまり」
また行き止まりだった。
また間違えてしまった。
戻らなければならない。
間違って間違って、
戻って戻って、
繰り返し、僕は家路を探している。
どの道が正しいのか、
正しい事とはどんな事なのか、
僕の答えは前へ進むのか。
でも間違いでも、いいじゃないか。
間違いなら、正解も見分けがつくだろう。
それを見つける事も難しい事だけど、
何かを探し続けている。
聞いていいですか。
『いきどまり』に行くのは可笑しな事ですか?
「楽になりたいのに」
無理をする。
疲れる。
休む。
日常茶飯事、繰り返しまくっている。
だったら無理をしないで、楽になりゃいいのに。
楽になれば時間は長いけど、失敗する事もなくなるじゃないか。
楽になりたいのに、また無理をする。
無理をしてしまって疲れてしまったから、休む。
責めたりはしないで欲しい。
その人は人一倍頑張っているから。
無理をする事があるなら、周りに人がいるなら、
応援してやってください。
出来るなら協力してやってください。
でも楽も悪くはないよ。
無理しすぎる奴の疲れが、吹っ切れるならいいじゃないか。
また立直れる様なら、もっと前に進めるだろう。
だからその時も応援してください。協力してください。
無理する事も、楽をする事も同じような事。
でも考え直すと、やっぱり楽がいいと思う。
そう。楽になりたい僕は。
「鮮やかな記憶」
色鮮やかな人生。
歴史。
様々な記憶と、遺留品が
海や山や文明に残っている。
それがたとえ歴史の紙片だとしても、
たとえ悲しい詩篇だったとしても、
それは綺麗な記憶の欠片。
ひとつひとつの積み重ねで
人が人である為の標となってくれている。
鮮やかな記憶を時代に託して、
幸せになってほしいと約束して、
そして役目を終えて消えていく。
いつかその時が来るのだろうか。
役目を終えた後、流れるままに消えて。
その時まで、生きた証を誰かに残せるのだろうか。
知らない誰かの記憶を受け取りながら。
鮮やかな記憶を託して。
このサイトから刹那 10題を借りました